これは私が入院したときに、談話室で知り合った男性から伺ったお話です。
その男性の詳しいプロフィールは、こちらのお話しをご覧ください。
→死後離婚 相続無いし親の面倒はもういいよ 【今度妻に伝えよう①】
その男性は、これから妻に「死後離婚」について伝えようとしていました。自分が生きている間に、自分の妻に対する愛情を「死後離婚」で表現しようとしたのです。
「死後」「離婚」どちらも最大限にネガティブな言葉なのに、そこから伝えようとする内容には、愛情が込められたものだったんです。
死後離婚とは?どういう意味なのか?
【ある男性】
「死後離婚」とはどういうことなのか?私なりの言葉で説明しますね。
そもそも「死後離婚」なんていう言葉はありません。この今の日本の世の中が作り出した言葉じゃないかな。
私の場合で言うと、私ががんで亡くなり、残った妻が私の親(家系)と縁を断つことですね。
いままでに私や私の兄弟、そして親に様々な不幸が降りかかってきたんです。妻から言わせると私の家系は「呪われているんじゃないの?」ってことなんです。倒産、破産、事故、犯罪、逮捕、病気などあらゆる不幸なことを身近に体験してきたわけですからね。
こんな不幸なウチの家系を、妻から解放してあげたいわけなんですよ。
実際には、「死後離婚」じゃなく「姻族関係終了」になるですけどね。私が死ねば、自動的に婚姻関係は終了します。そして妻が私の親や兄弟と関係を断つには、この「姻族関係終了届」を出すことなんですよ。
「死後離婚」=「姻族関係終了届の提出」
こうやって覚えておくといいんじゃないかな?
死後離婚は法律的にはどういうことなのか?
法律的なことは詳しくわかりませんけど、「姻族関係終了届」が受理されたら妻とウチの家系の関係が終了したってことが戸籍に残るってことなんです。
妻には母の面倒を見る義務がなくなる。でも気をつけなきゃいけないのは息子は私の母とは親族関係にあることは変わりないってことなんですよ。だからウチの息子には私の母の扶養義務があるってことなんですね。まあ私の母が亡くなれば、母の遺産は代襲相続で息子が相続するから、当たり前なんですけどね。
ちなみに私が亡くなる前にこの「姻族関係終了届」を出すことはできませんよ。
それから「姻族関係終了届」って面白い特徴があるんです。それは私の母の承諾は必要ないってこと。私の母がどんなに拒否しようとも、「姻族関係終了届」は提出することができて、反対意見に関係なく受理されるってこと。
そして逆の届け出はできないですよね。つまり私の母が私の妻と関係を断ち切りたいからといって「姻族関係終了届」を出すことはできないんですよね。法律的なことでいうと「子」のほうが選択肢や可能性がたくさんあるってことですよね。
死後離婚にはどんな効果があるのか?
もし私の兄嫁から、「お母さん(私の母)の老後の面倒は、同居してたそちらで見てもらえますか?}なんて言われた場合には効果があると思うよ。
ウチの妻は「姻族関係は終了したんです。受理されましたから。もう関係ありません」ってね。
「姻族関係終了届」は紙っきれ1枚、出せばいいわけで、簡単なんですけど、そうやって周囲の家族に与える効果は絶大なんですよね。
また妻の実の親からすれば、この「姻族関係終了」は安心かもしれません。私の母とは遠く離れた場所に住んでいるので、顔を合わせることはないでしょう。法律的で守られたことですから、違反しているわけでもないし、後ろめたい気持ちもないですからね。
まとめ
この男性のお話は、いろいろと衝撃的でした。この男性自身は、別に母を恨んでいるわけでもなく、周囲の家族がよりバランスよく老後を迎え面倒を見てもらえるように調整しているのだということでした。
「姻族関係終了届」を出すことで、無責任と感じる兄夫婦に対する戒めだろうと感じました。明言はしていませんが、どうやら兄夫婦というのがクセモノのようでした。
この男性が生きているうちに「死後離婚」について妻に話しておかねばという気持ちが伝わりました。男性が亡くなったあと、妻が後ろめたさを感じぬように理不尽な要求から逃れられるような道へと導き出そうとしていたのでしょう。

